ガイド体験談:日光に行ったのに何も見なかった

「日光に行ったのに、何も見なかった」

先日ご案内したお客様よりいただいたお言葉です。

お言葉をいただいたのは、日光の翌日、浅草で観光が終わった時に突如言われました。(え、なんで今!?)

ご案内したのは某ヨーロッパの13名のファミリー。お盆が始まる手前に、貸切バスで都内から日帰りで日光観光に行きました。

日光で何も見なかった。そんなわけはありません!

きちんと行程通り、東照宮といろは坂を上って中禅寺湖、華厳の滝を見て喜んでいたと思っていたのに、この感想をいただくとは何とむなしいことか。

東照宮では五重塔、石鳥居、見ざる聞かざる言わざる、陽明門、拝殿、眠り猫、鳴き龍をご案内しました。それなのに何も見なかったとはどういうことでしょう?

お客様いわく、「何十年も前に日光に行った時はもっとたくさんお寺があった。昨日行ったのは東照宮の1か所だけだ。日光と検索するとた~くさんお寺が出てくるのに、1か所見ただけでは日光に行ったことにならない。滝はカットして、もっとお寺を見るべきだった。」

とのことです。さらに、

「高山の山車会館で日光のミニチュアを見たけどもっと広くていろんなお寺があった。そちらを見るべきだった。」と。

お寺とは、恐らく輪王寺のことを指しているのだと思います。

「お寺は京都でたくさん見てきたし、日光といえば東照宮がメインなのに何をおっしゃる。しかも昨日は土砂降りで早くバスに戻りたがっていたくせに・・。」と心の中で思いながら、お客様がこうおっしゃるのも実は私には心当たりがあります。

それは、バスを二荒山神社の駐車場にとめたので輪王寺は視界に入らなかったのです。実は以前「昔日光に行った時はたくさんお寺があった」と話していたのを聞いて輪王寺に停めようか迷いました。

しかし、道が平たんなこと、迷子にならないようにと今回は二荒山神社に停めたのでした。

この判断がお客様に日光のインパクトを与えることになるとは、ガイドとは簡単な仕事ではありません。

しかししかし、輪王寺の駐車場に停めれば良かったかというと、それが正解とも言い切れないのでございます。というのも、輪王寺に停めるとお寺のインパクトがある分写真を撮ったり立ち止まったりして本来の目的である東照宮の時間が足りなくなる可能性があるのです。

都内からの日光日帰りツアーは常に時間との勝負です。1日ツアーでも、日光での滞在時間はお昼、いろは坂の移動を含めて5時間くらいです。

お客様の動きがゆっくりなことを考慮して、「輪王寺は見れない」と分かりつつ、二荒山に停めたのでした。そもそもツアーに輪王寺は入っていないので、輪王寺の駐車場に停めてもチケットはないし、中を見る時間は正直ありません。

無料で入れる護摩堂もご案内したいのはやまやまですが、ここで時間をくってしまうと、今度はメインの東照宮の時間が短かったと言われかねません。

【結論 今回の学び】

・お客様が「昔行った時には日光にはお寺がたくさんあった」というお客様の記憶に合わせて、輪王寺に停めた方が見た目のインパクトがあり良かったかもしれません。

・輪王寺を見る時間はないので、それを踏まえてあらかじめ「日光では時間が限られているので時間厳守」を朝の時点で依頼するべきでした。

・付け加えると、このファミリーには4歳くらいの女の子がいてペースがゆっくりです。朝も8時半集合なのに20分遅刻しました。

・お客様とは前日に日光での行程を説明済で納得いただいているし、エージェントからの行程はこなしているので問題はない。

・お客様は浅草があまりにも人が多く暑くてイライラし、つい思いが噴出してしまったのかもしれない。滝をカットするなら、その場で言うべき。

以上です。時間的に輪王寺を見ることはできないにしても、輪王寺の駐車場に停めることで少しでも外観から雰囲気を味わうことはできたかたな、と思いました。

心の声 でもそうするとやはり東照宮の時間が間に合わなかったかもしれないし。。ガイドは難しい~!